節税・経費管理に効果的な社内ルールの整備ガイド
出張手当とは?
出張手当は、役員・従業員が出張により業務を遂行する際にかかった食事代や雑費等を補填する目的で支給されるものです。
また、長距離移動や慣れない環境で働く際に生じる肉体的・精神的負担への慰労としても活用されます。
- 定額支給
- 領収書不要
- 出張旅費規程に基づき支給されれば非課税処理が可能
出張旅費規程とは?
出張旅費規程とは、出張に伴って発生する費用(交通費・宿泊費・出張手当など)を、どのような条件で・いくら支給するかを明確に定めた社内規則です。
- 出張旅費の支給基準を明文化
- 不必要な支出の抑制
- 効果的な経費管理と節税を実現
出張旅費規程を整備するメリット
✅ 経費管理の効率化
- 高額な交通手段・宿泊施設の利用を制限可能
→ 出張旅費規程により、グリーン車・ファーストクラス・高級ホテル等の利用制限を明文化できる。
→ 不必要・過剰な出費を事前に抑制。 - 明確な精算ルールにより経費請求の統制が可能
→ 出張経費に関する上限・実費精算・定額支給などを明文化することで、従業員の請求行動に一貫性が生まれる。
📌【参考】
財務省「令和3年度 旅費等実態調査(民間企業及び国内宿泊料金)」
https://www.mof.go.jp/policy/budget/topics/travel_survey/index.html
多くの企業で、交通費は実費支給、宿泊費は上限付き実費・定額支給が採用されている。
✅ 節税効果
- 出張手当は課税仕入扱いで消費税控除対象
→ 定額支給される日当等も、「役務提供の対価」として課税仕入れに該当(消費税法上)し、仕入税額控除の対象になる。
→ 例:日当10,000円支給 → 909円の仕入税額控除可能(10,000円 × 10 / 110)
📌【根拠】
国税庁「消費税法基本通達 11-1-2」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/11/01.htm
旅費交通費・宿泊費・日当・通信費等は、課税仕入れに該当する。
- 役員への支給も可能で法人税節税になる
→ 出張旅費規程に基づき、従業員と同様の合理的な支給額であれば、役員への日当・宿泊費も損金算入が可能。
📌【根拠】
国税庁「法人税基本通達 9-2-13(役員に対する出張旅費)」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/02.htm
役員に対する旅費のうち、従業員と同様の基準に基づいて支給されているものは、給与として課税されない。
- 規程未整備・実態なしでは否認され課税リスクがある
→ 出張手当を規程なしで支給した場合、税務上「給与」とみなされ、源泉徴収や法人税課税の対象となるリスクが高い。
📌【補足】
税務調査では、以下の3点が確認される傾向にあります:
確認ポイント | 内容 |
---|---|
規程の整備 | 支給基準・金額・対象が明文化されているか |
実態の有無 | 出張届・報告書などの記録があるか |
常識的金額 | 日当・宿泊費が過大でないか(社会通念上の範囲内) |
出張旅費規程の作成手順
- 規程案を作成(WordなどでOK)
- 株主総会での決議(税務調査対策)
- 従業員の同意(意見書)取得
- 労基署へ提出(従業員10人以上の場合)
- 社内周知
※従業員が10人未満の企業・個人事業主は、提出義務なし。
出張旅費規程に記載すべき項目
項目 | 内容例 |
---|---|
出張の定義 | 「勤務地から片道100km以上」や「宿泊を伴う出張」など |
勤務時間の扱い | 出張中は定時勤務とみなす(例:「所定労働時間勤務とみなす」) |
支給対象費用 | 交通費、宿泊費、出張手当、通信費、渡航手続費など |
支給基準 | 交通費は実費、宿泊費は上限設定または実費、出張手当は定額制 |
地域・役職別の設定 | 都市ごとの宿泊費差や役職による手当差も設定可 |
精算方法 | 出張報告書+領収書を、原則1週間以内に提出 |