対象:はじめて自力で合同会社を設立する方向け。画面の上から順に進めればOK。
1. まず決めること(設計図)
項目 | 決め方のヒント |
---|---|
商号(会社名) | 同一住所・同一商号の可否を確認。末尾に「合同会社」を付ける(例:合同会社〇〇)。 |
本店所在地 | 自宅可。賃貸は契約で登記可否と事務所利用可否を要確認。 |
事業目的 | 将来やる可能性も含め網羅。許認可業種は文言・許可の要否に注意。 |
資本金額 | 1円〜可。登録免許税の最低額は6万円(資本金×0.7%のうち最低額)。 |
社員(出資者)構成 | 個人/法人いずれも可。人数・持分割合・議決方法を想定。 |
代表社員の選任 | 単独なら自動で代表、複数なら選定決議を用意。 |
事業年度 | 決算月は繁忙期を避けるのが一般的(例:3月以外)。 |
公告方法 | 官報または自社Web等。定款に記載。 |
2. 必要書類と費用(チェックリスト)
書類・費用 | ポイント |
---|---|
定款(紙 or 電子) | 合同会社は公証役場認証不要。紙で作ると収入印紙4万円、電子なら印紙0円。 |
就任承諾書(業務執行社員・代表社員) | 氏名・住所・押印。複数役員なら各人分。 |
払込証明書(資本金) | 代表個人口座に出資額を入金→通帳コピー等を添付し作成。 |
本店所在地決議書 | 定款に詳細住所を記さない方式の場合に添付。 |
代表社員選定決議書 | 社員が複数で代表を選ぶ場合に必要。 |
印鑑届書(法務局) | 法人実印を作成の上、登記時or後日提出。 |
登録免許税 | 6万円 or 資本金×0.7%の高い方(収入印紙ではなく収入印紙相当の収入印紙/登記用納付)。 |
会社実印・銀行印・角印 | 登記・口座開設・請求書で使用。セットで用意が便利。 |
3. 設立の時系列(この順でやればOK)
- 設計:上の「1. まず決めること」を埋める。
- 定款作成:テンプレートをベースに作成(下のひな形参照)。電子作成推奨(印紙0円)。
- 出資金の払込:代表個人口座に全員分を入金→通帳コピー準備→払込証明書作成。
- 登記申請書一式を作成:定款/就任承諾書/各決議書/印鑑届書等をまとめる。
- 法務局へ申請:本店所在地を管轄する法務局に持参 or 郵送。
- 登記完了・履歴事項全部証明書の取得:完了後に取得(銀行口座開設や各種届出に使用)。
- 税務・社会保険等の届出:次章のチェックリストを期日内に提出。
- 銀行口座開設:登記簿・印鑑証明・定款等を添えて申込。
- 請求書・契約書・社内規程等の整備:事業開始準備。
4. 登記に使う書式(コピペひな形)
① 定款(合同会社)サンプル
第1章 総則 (商号)第1条 本会社は合同会社〇〇と称する。 (目的)第2条 本会社は、次の事業を営む。 1. 〇〇に関する企画、制作、運営 2. 〇〇の販売および輸出入 3. 前各号に附帯関連する一切の事業 (本店の所在地)第3条 本店を〇〇県〇〇市に置く。 (公告方法)第4条 本会社の公告は官報に掲載して行う。 第2章 社員および出資 (社員・出資)第5条 社員は別紙社員名簿のとおりとし、その出資の目的・価額は各別に定める。 (業務執行)第6条 業務を執行する社員(業務執行社員)は〇〇とする。 (代表)第7条 本会社を代表する社員(代表社員)は〇〇とする。 第3章 出資および持分 (出資の履行)第8条 社員は出資の目的物を本店の指定に従い履行する。 (持分の譲渡)第9条 持分の譲渡は社員の同意を要する。 第4章 計算 (事業年度)第10条 本会社の事業年度は毎年〇月1日から翌年〇月31日までとする。 (利益配分)第11条 利益または損失は、出資割合に応じて按分する。 附則 1. 本定款は令和〇年〇月〇日に作成する。 2. 本会社の最初の事業年度は、設立の日から令和〇年〇月31日までとする。
② 就任承諾書(業務執行社員/代表社員)
就任承諾書 私は、合同会社〇〇の業務執行社員(兼 代表社員)に就任することを承諾します。 令和〇年〇月〇日 住所:〇〇県〇〇市〇〇 氏名:〇〇 ㊞
③ 本店所在地決議書(定款に市区町村のみ記載の場合)
本店所在地決議書 合同会社〇〇の本店所在地を次のとおり定める。 所在地:〇〇県〇〇市〇〇〇丁目〇番〇号 令和〇年〇月〇日 社員 〇〇 ㊞ 社員 〇〇 ㊞
④ 代表社員選定決議書(社員が複数の場合)
代表社員選定決議書 次の者を代表社員に選定する。 氏名:〇〇 令和〇年〇月〇日 社員 〇〇 ㊞ 社員 〇〇 ㊞
⑤ 払込証明書(資本金)+通帳コピー添付
払込証明書 合同会社〇〇の設立に際し、下記のとおり出資金の払込みがあったことを証明します。 1. 払込金額合計:金〇〇円 2. 払込方法:代表者個人口座への振込 3. 払込日:令和〇年〇月〇日 令和〇年〇月〇日 代表社員 〇〇 ㊞ (金融機関の通帳(表紙・名義・入出金明細)コピーを添付)
⑥ 印鑑届書(提出時の注意)
・法人実印を事前に作成。 ・提出先:本店所在地を管轄する法務局。 ・代表社員の個人印鑑と本人確認書類を持参(郵送時は委任状等)。
5. 登記申請パッケージ(同封物チェック)
- 登記申請書
- 定款(電子ならPDFを保存/紙なら製本+綴り)
- 就任承諾書(業務執行社員・代表社員)
- 本店所在地決議書(必要に応じて)
- 代表社員選定決議書(必要に応じて)
- 払込証明書+通帳コピー
- 印鑑届書(または後日提出)
- 登録免許税の納付書類(収入印紙/電子)
6. 登記後の届出(期限つきチェックリスト)
提出先 | 書類 | 一般的な期限メモ |
---|---|---|
税務署 | 法人設立届出書 | 設立からおおむね2か月以内 |
税務署 | 青色申告の承認申請書 | 設立から3か月以内 または 最初の事業年度終了日のいずれか早い日まで |
税務署 | 給与支払事務所等の開設届出書 | 給与支払開始から1か月以内 |
税務署 | 源泉所得税 納期の特例の承認に関する申請書 | 希望する場合に提出(年2回納付へ) |
都道府県税事務所 | 法人設立・設置届出書 | 地域ごとの定め(多くは設立から15日〜1か月) |
市区町村 | 法人設立・設置届出書 | 地域ごとの定め(多くは設立から15日〜1か月) |
年金事務所 | 健康保険・厚生年金 新規適用届ほか | 法人は原則適用事業所。実務は報酬開始時に提出が多い |
労基署・ハローワーク | 労災・雇用保険の手続き | 従業員を雇う場合 |
※ 地域や状況で様式・期限が異なることがあります。各提出先サイトの最新案内をご確認ください。
7. 口座・実務セットアップ
- 銀行口座:必要書類(登記簿・印鑑証明・定款・事業概要・Web資料等)。審査に備え、目的や実績の説明資料を用意。
- 請求書・見積書・領収書:様式統一。インボイス登録の要否を確認。
- 会計:会計ソフト導入/勘定科目の初期設定/証憑の保存ルール(電子帳簿保存法の要件確認)。
- 社内ルール:旅費規程・押印ルール・IT/情報管理(最低限)。
8. よくある詰まりポイント(事前回避ガイド)
- 目的の書き過ぎ/不足:許認可が絡むなら行政の表現例を確認。将来の事業も程よく網羅。
- 払込の証跡不足:入金日時・名義・金額が通帳等で読み取れるようコピー。
- 住所表記ゆれ:定款・申請書・印鑑届で完全一致させる(全角/半角・ハイフン含む)。
- 印紙コスト:紙定款だと4万円。電子定款なら0円(合同会社は認証不要でも印紙は紙なら必要)。
- 届出期限ミス:とくに青色申告と給与関連はカレンダーに登録。
9. ミニFAQ
Q1. ひとりで作れますか?
作れます。社員1名でも設立可。代表社員=自分でOK。
Q2. 資本金は後で増やせますか?
増資手続で可能(登記が必要)。当面の運転資金・信用を考慮して設定を。
Q3. 電子定款は必須?
必須ではありませんが、紙定款だと印紙4万円がかかります。電子にすると0円になり、コスト削減になります。
Q4. 社会保険は必ず加入?
法人は原則適用事業所。実務上は役員報酬の支給開始に合わせて手続するケースが多いです(所管に確認推奨)。
10. 申請書「タイトル行テンプレ」(コピペ差替用)
登記申請書 登記の目的 設立 商 号 合同会社〇〇 本店所在地 〇〇県〇〇市〇〇〇丁目〇番〇号 公告方法 官報に掲載して行う 事業目的 別紙定款記載のとおり 資本金の額 金〇〇円 出資者 別紙社員名簿のとおり 令和〇年〇月〇日 申請人(代表社員) 住所:〇〇県〇〇市〇〇 氏名:〇〇 ㊞ 添付書類 定款/就任承諾書/本店所在地決議書/払込証明書/印鑑届書 ほか