対象読者:これから法人を作る人/設立直後の小さな会社/少人数の中小企業
- まず結論(ここだけ読めばOK)
・小さめ投資の実務で効くのは「少額減価償却資産の特例(いわゆる30万円特例)」の拡充。基準が30万円未満→40万円未満へ上がる見込みで、PC・周辺機器・事務機器の更新がやりやすくなる。
・中小の設備投資支援としては「中小企業投資促進税制」も引き続き重要。対象設備なら「特別償却30%」か「税額控除7%」を選べる枠組み。
・一方で、投資額が“億”単位で大きい会社向けに、即時償却または税額控除(7%等)の新しい投資促進措置も創設される(中小でも「5億円以上」などハードル高め)。
・研究開発系は、控除の仕組み見直し+期限延長などが入り、R&Dをやる中小には追い風(ただし要件は細かい)。 - 2026年度税制改正大綱とは
「大綱」は、年末に政府がまとめる“来年度以降の税制の方向性”。細部は国会で法律化され、施行日・経過措置が確定していく流れです。今回は、国内投資を強く後押しする新制度の創設、既存の特例の見直し(賃上げ・R&Dなど)、物価上昇局面への対応が柱とされています。 - 中小の実務に直撃:「少額減価償却資産の特例」が拡充(30万→40万の可能性)
2-1. 何が変わる?
中小企業が、一定の要件のもとで「少額の資産」を買ったときに、減価償却で年数を分けずに“その年に全額経費化”できる特例があります。
今回の大綱解説では、対象となる取得価額の基準が「30万円未満」から「40万円未満」へ引き上げられる見込み、あわせて適用期限が延長される、という整理が出ています。
2-2. どんな場面で効く?
例)
・ノートPC+モニター+周辺機器をまとめて更新したい
・業務用プリンター、NAS、撮影機材、POS周辺などが物価高で30万円を超えがち
・設立直後に“最初の道具一式”を揃えたい
「40万円未満」に上がると、現実の相場感に寄りやすく、買い方(分割購入やグレード落とし)を変えずに済む可能性が出ます。
2-3. 注意点(ここが落とし穴)
・[全員が無条件で使える]制度ではなく、対象者・対象資産・運用条件があります(会計処理も含めて要確認)。
・実際に適用するかは、利益の出方、資金繰り、翌期以降の投資計画で最適解が変わります。
・法令としての最終確定(施行日や細部)を必ず確認。大綱段階の情報は、今後の法制化で調整が入り得ます。
- 中小の設備投資支援の王道:「中小企業投資促進税制」
中小企業が対象設備を取得等した場合に、
・取得価額の30%の特別償却
または
・7%の税額控除(条件あり)
を選択できる制度として整理されています。適用期限も「2026年度末(2027年3月31日)まで」と案内されています。
この制度は、「一発で全額経費化」ではなく、税額控除や償却の“加速”でキャッシュフローを良くするイメージ。
設備投資の規模がそこそこある会社ほど、検討価値が上がります。
- 5億円以上クラスの投資をする会社向け:新しい“大型投資”優遇(即時償却 or 税額控除)
今回の改正の目玉として、投資計画の認定などを前提に、対象設備について「即時償却」または「税額控除(7%等)」を選べる新制度が打ち出されています。中小企業者等でも投資下限が「5億円以上」とされており、普通の設立直後の会社にはハードル高めですが、成長投資を一気に行う会社には影響が大きい枠です。 - 研究開発をする中小は要チェック:研究開発税制の見直し・延長
研究開発税制については、控除率や上限の見直し、時限措置の延長、さらに海外委託研究費の扱いの段階的見直しなどが示されています。R&D型の中小(製造・IT・バイオ等)では、「どの類型に当たるか」「委託形態が要件に触れるか」で可否が割れるので、早めに要件確認が得策です。 - 設立直後の会社が、今すぐやるべき実務アクション
1)今年買うもの・来期買うものを棚卸しする
PC、撮影機材、プリンタ、什器など「30万を超えやすい物」を洗い出し。
2)一括で経費化したい投資と長期で使う投資を分ける
同じ設備投資でも、利益が出るタイミング・資金繰りで最適な処理は変わります。
3)税制は「使えるか」より「使うと得か」を確認する
特例は得に見えても、翌期以降の利益や融資資料(決算の見え方)に影響します。
4)最終法令・施行日を必ず確認する
大綱は方向性。実務で使う日付は“法令の施行”が基準です。
- 免責(大事)
本記事は一般情報です。実際の適用可否は、資本金、従業員数、青色申告の状況、設備の内容、事業年度、利益計画などで変わります。購入や申告の直前に、税理士または顧問先と要件確認をおすすめします。