2026年9月30日は、インボイス制度の“負担軽減の山場”です。
理由は主に2つあります。
1つ目 売り手側(免税→課税になった人)が使える「2割特例」の適用期間が、2026年9月30日までで区切られていること。
2つ目 買い手側(仕入れる側)が、免税事業者からの仕入で控除できる割合(いわゆる経過措置)が、2026年10月1日から80%→50%に下がること。
この2つが同時に動くので、2026年秋以降は「取引条件」「価格交渉」「登録の催促」「法人化の検討」が一気に現実問題になります。
まず押さえる。何がいつ変わるのか
A. 売り手側の負担軽減(2割特例)
・2割特例の適用期間:2023年10月1日〜2026年9月30日までの日の属する課税期間
・対象のイメージ:もともと免税事業者だった人が、インボイス登録(適格請求書発行事業者)をして課税事業者になった場合に、納税計算を簡便にできる特例
B. 買い手側の負担軽減(免税からの仕入の控除割合=経過措置)
・2023年10月1日〜2026年9月30日:仕入税額相当額の80%を控除できる
・2026年10月1日〜2029年9月30日:同50%に縮小
タイムライン
・〜2026/9/30 売り手:2割特例が使える余地が大きい 買い手:免税からの仕入でも80%控除
・2026/10/1〜 売り手:2割特例の区切りを越える 買い手:免税からの仕入の控除が50%へ
なぜ「会社設立(法人化)」に直結するのか
理由はシンプルで、取引先が“損をする仕組み”が強まるからです。
買い手(取引先)から見た話
取引先が課税事業者の場合、あなたが免税のままだとインボイスが出せません。
2026年9月まで:それでも80%は控除できる(痛みは小さめ)
2026年10月以降:控除が50%まで落ちる(痛みが目に見えて大きくなる)
結果として起きやすいこと
・「インボイス登録してほしい」と強めに言われる
・登録しない場合、仕入先変更や単価引き下げ交渉が起きる
・法人/個人の形よりも、「課税事業者としてどう設計するか」が中心論点になる
設立前後で迷いやすいパターン別の考え方
パターン1 これから取引を増やす(BtoB中心、取引先が法人が多い)
・2026年10月以降は、免税のままだと交渉コストが上がりやすい
・会社設立するなら、最初から「課税前提の設計」をしておくと後がラク
・登録のタイミング次第で、2割特例の“恩恵を受けられる期間”が変わるので要注意
パターン2 BtoC中心(一般消費者が主なお客さん)
・相手が仕入税額控除を気にしないので、インボイス圧は相対的に弱い
・ただし、広告代理店やプラットフォーム、卸先が絡むとBtoB要素が出て一気に重要になる
パターン3 免税のまま行けると思っていたが、取引先から急に言われそう
・2026年9月までの間に、取引先の“本音”を確認するのが最優先
・10月以降、取引先の控除が50%になることを前提に、単価・契約・請求フローを見直す
やることチェックリスト(2026年9月30日までに)
1 取引先を3つに分ける
・課税事業者(法人など)で、インボイス必須の相手
・課税だけど影響が小さい相手
・消費者中心で影響がほぼない相手
2 免税取引がどれだけあるか棚卸し
・仕入先(外注先)が免税のままか
・自社が免税でいられる設計か、課税前提に寄せるべきか
3 2026年10月以降の交渉を先に作っておく
・値上げ(税負担分)/値下げ(控除減分)どちらの圧が来るか
・契約書や発注書の文言(消費税・請求・インボイス対応)を整理
4 (設立予定の人)「設立日」と「課税期間」を意識して税理士に一度当てる
・2割特例は“いつでも万能”ではなく、期間と条件があるため
・あなたの事業年度設計次第で、実際の得失が変わります
よくある質問
Q. 2026年9月30日を過ぎたら、インボイスはもう間に合わない?
A. 登録自体は続きます。ただ、負担軽減(2割特例・80%控除の段階)は切り替わります。
Q. 2026年10月から何が一番痛い?
A. 取引先が免税仕入の控除を50%しか取れなくなる点です。BtoBほど交渉が増えます。
まとめ
2026年9月30日は、インボイス対応が「様子見」から「交渉と設計の現実」へ切り替わる境目です。
会社設立(法人化)を考えている人ほど、設立形態より先に、取引先のインボイス要件と、2026年10月以降の請求・単価設計を固めたほうが失敗しにくくなります。